名探偵ポワロとマープル 第39話

 実に淡々と「雲の中の死」の完結篇でした。さすがにキャラクターデザインの方が作画監督だったため、いつもより作画はやや良好という感じでしたが、やはり高橋監督の絵コンテではありませんでした。
 これまでの高橋ナオヒト監督作品では、『To Heart(第1作)』にしても、『鋼鉄天使くるみ』にしても、『フィギュア17』にしても、最初と終わりは監督自身が絵コンテを切っておられたのですが、今回は全39話という長丁場にもかかわらず、監督が絵コンテを担当したのはわずかに第1話のみでした。う〜ん、よほど制作に余裕がなく、各話演出にまで手がまわらなかったのでしょうか?
 作品全体を振り返ってみると、色々と光る作品になりそうな要素を持っていたと思うのですが、最終的にはそこそこの出来という印象です。高橋ナオヒト監督作品としては、かなり不満の残る作品であったと言わざるを得ません。原作との兼ね合いや、ファミリー向けであること、「有名俳優」達の名/迷演技、そして切り詰められた制作費などなど、この作品の制作上の困難さは容易に想像できるところですが、それでももう少し頑張って欲しかったです。個人的には、クリスティ原作のカップル探偵が活躍する作品を翻案して、メイベルとヘイスティングスが活躍するエピソードとしてくれたなら嬉しいところだったのですが(もっとオリジナル要素を入れていく形でなら、そして十分な制作体制が確保できるなら、続編を希望したいところです)。
 とはいえ、『パディントン発』や『スリーピングマーダー』などは、原作をアレンジして家族再生の物語とするなど、結構上手くアニメ化されていると思いましたし、『クリスマスプディングの冒険』は、かなりの良作であったと言って良いだろうと思います。また、被害者やその遺族の心情をきめ細かく描写しようとする傾向が見られたのは、好ましいところでした。