2600年の歴史を持つ皇室?

http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/20060201/1138757159
軍事評論家=佐藤守のブログ日記
2006-02-01 「自衛隊が守るべきもの」とは


 この記事を読むと、この方はシビリアン・コントロールというものをどう考えておられるのかと疑問に思わずにはいられません。
 ただ、今回取り上げたいのは、この記事の中の次の部分です。

三島由紀夫が言ったように、我々の先達は、そこを見事にクリアーする解決法を2600年間も守り続けてきたのではなかったか?


 これを読む限り、佐藤守氏は皇室の歴史を2600年間続いてきたものと考えておられるようです。そして、同様な言説は、結構目にするところです。
 例えばジャーナリストとして有名な櫻井よしこ氏は、「小泉首相の無関心が招いた『女帝論議』の誤り」というブログ記事(http://blog.yoshiko-sakurai.jp/archives/2006/01/post_407.html )の冒頭で、以下のように述べておられます。

神話の時代から2600年以上、世界最古の歴史を持つ皇室制度が、いま革命的に変わろうとしている。


 こういう文を目にすると、どうしてこんなことが書けるのか、そしてどうしてこういう文を読んで共感できる人々が存在するのか、不思議でたまらないのです。
 現代の日本人のほとんどは中学・高校で教育を受けており、そこで学習する歴史の知識によって、2600年前の日本列島はいわゆる縄文時代であり、国家と呼べるものが存在していた可能性はほぼ皆無であることは、全くの常識となっているはずです。その常識からすれば、「2600年続いた皇室制度」などという言葉を使う人に対しては、眉に唾をつけたくなってしまうのが普通だろうと思うのです。
 そして、この記事の後段において、櫻井ようこ氏は次のように述べておられます。

皇室は祖先神を天照大神とする。その孫の瓊々杵尊(ににぎのみこと)が三種の神器を奉じて高千穂の峰に降臨し、日本の国造りが始まった。曾孫の神武天皇は127歳の長寿を全うした方で、そこから天皇を戴く日本の皇室が始まったとされている。紀元前660年の即位とされる神武天皇も含めて、これら全て、神話である。神話に端を発する万世一系、男子継承の皇室は、日本民族生成の物語なのだ。物語は理屈を超越する。理屈での説明が難しい側面があるのは、むしろ自然なことなのだ。
現代の価値観からみて、理屈で説明しにくいことは少なくない。男系男子の天皇にこだわる余りの後継者問題もそのひとつだ。今日まで125代、2665年の歴史で、皇室が男子継承者の不足などの危機に陥ったことは幾度もある。その度に、嘗ての祖先たちは女性天皇を立て、皇統につながる血筋の男性を探し出す努力と工夫を重ねた。

 
 「これら全て、神話である。」「日本民族生成の物語なのだ。」と述べて、皇室が2600年続いたとされることはフィクションであることを認めた上で、櫻井氏の論法は「物語は理屈を超越する。」とアクロバット的に展開します。そして、「今日まで125代、2665年の歴史で、〜」などと、神話を歴史的事実のように書いておられるわけですが、理解を絶するとしか言いようがないところです。