「A級戦犯は国内法的には犯罪者ではない。だからA級戦犯は犯罪者と見做されるべきではない。」という言説から連想する、2つの例え話。

【例え話 その1】
 日本人のAという人物が、フランスでフランス人を殺害し、フランスの法廷で裁かれ、殺人罪で有罪判決を受けたとします。A氏はフランスの刑務所で服役した後に出所し、日本に帰国しました。そして、A氏が次のように述べたとしたらどうでしょうか?
 「私はフランスの法律で裁かれて有罪判決を受けたが、日本の法律で裁かれたのではないから国内法的には犯罪者ではない。だから、私は犯罪者と見做されるべきではない。」
 このようなことがあったとしたら、A氏の主張は正当なものと言えるでしょうか?


【例え話 その2】
 もしも北朝鮮が暴発してミサイルを他国に発射したとしたら、国連平和維持軍またはアメリカを中心とする多国籍軍によって攻撃を受け、北朝鮮政権は倒されることになるでしょう。そして、金正日をはじめとする北朝鮮政府首脳は逮捕され、国際軍事法廷で裁かれることになると思われます。また、北朝鮮の領域はしばらく国連平和維持軍または多国籍軍の管理下に置かれた後に、韓国に吸収されることでしょう。 
 さて、それから数十年が過ぎて、国際軍事法廷で裁かれて懲役刑を科された金正日が、韓国の刑務所で刑期を終えて出所し、次のように述べたとしたらどうでしょうか?
 「私は国際法で裁かれて有罪判決を受けたが、韓国の法律で裁かれたのではないから国内法的には犯罪者ではない。だから、私は犯罪者と見做されるべきではない。」
 このようなことがあったとしたら、金正日の主張は正当なものと言えるでしょうか?