尖閣諸島の問題について、少し引っ掛かったこと

 尖閣諸島の領有に関する中華人民共和国側の主張については、それがどの程度の妥当性を持つのかを判断することは勉強不足で今のところできませんが、中華人民共和国側の主張がおかしいと批判する意見の中に以下のようなものがあるのには、引っ掛かるものを感じます。
 
 「中華人民共和国尖閣諸島の領有権を主張するようになったのは1970年代の初め頃からで、それまでは何も言わなかった。1960年代末頃に尖閣諸島周辺に海底資源がある可能性が指摘されるようになったから、急に主張し始めたのだ。」


 このような批判は、妥当なものでしょうか。まず、海底資源については、中華人民共和国側が領有権を主張する理由の1つである可能性はあるだろうと思います。でも、1970年代の初め頃から領有権を主張し始めたのはおかしい、なぜそれまで何も言わなかったのか、という批判を目にすると、変だなあ、と思わざるをえません。
 なぜなら、日本と中華人民共和国が国交を正常化したのは1972年であり、それ以前は国交がなかったからです。国交がなかったのだから、1972年以前に中華人民共和国が日本に対して尖閣諸島の領有権を主張することがなかったのは、当然の話ではないのでしょうか。