魔法少女まどか☆マギカ 第7話

 前の連休中に、たまっていた録画を一気見しました。製作者の思惑に乗せられてるな〜、と思いつつも、次回が気になって仕方がない作品ではあります。
 第5話から、主人公のまどかの親友さやかを中心とした展開となっていますが、既に指摘されているように、これがアンデルセンの『人魚姫』の物語のパターンを踏んでおり、いやがうえにも悲劇性を盛り上げています。
 『人魚姫』では、命を救った王子様に恋をした人魚姫は、魔法によって人間の足を手に入れましたが、その代償として声を失い、王子様に自分の思いを伝えることができませんでした。一方『まどか☆マギカ』では、さやかは奇跡の力によって幼馴染の怪我を癒しますが、奇跡の代償として魔法少女という名の「ゾンビ」となり、幼馴染に自分の恋心を伝えることができなくなったのでした。そしてさらに、『人魚姫』では王子様は隣国のお姫様と結婚することになりますが、『まどか☆マギカ』でもさやかの幼馴染にさやかの親友の仁美が告白するという展開になっています。『人魚姫』では、人魚姫の恋は実りませんでしたが、人魚姫は神による「永遠の命」という救済を与えられます。しかし、『まどか☆マギカ』の世界には、どう考えてもキリスト教的な救済はありそうにないですね。
 第7話のラストで、「その気になれば、痛みなんて完全に消し去れるんだ」と言いながら、血みどろの戦いを繰り広げるさやか。ここでは影絵のようなシルエットで戦いが描かれますが、これはさやかが暗黒面に堕ちたということとともに、さやかの体に影をかぶせてその身体性を薄れさせ、黒いシルエットに流れる赤い血が、身体の痛みは感じないけれど心は血の涙を流している、ということを象徴しているのだろうな、と思いました。
 なお、戦いの前にさやかが「こんな身体で抱きしめてなんて言えない、キスしてなんて言えないよ」という実に乙女的というか、純粋で清潔なものを至上とする感じ方のあらわれた台詞を言うのですが、この台詞は彼女が「ゾンビ」になってしまった自分の身体に価値を見いだせなくなったことも示しており、それがあえて身体を傷つけ血みどろの戦いをするという後の行動につながるというのは、実に皮肉な展開です。こういうパターンがしばしば登場することが、この作品の「ジェットコースター的」と評される印象を生みだしているのでしょう。

 ところで、『まどか☆マギカ』関連の商品の1つにこんなものがあるのですが、第7話の時点では、ブラックジョークとしか思えないですね。
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