靖国参拝問題

朝日新聞5月28日 社説「東京裁判否定 世界に向けて言えるのか」より引用

 一宗教法人とはいえ、靖国神社も同様だ。そのパンフレットで「日本の独立を守り、アジアの国々と共に栄えていくためには戦わなくてはならなかった」と先の戦争を正当化し、戦犯を「連合軍の形ばかりの裁判によって一方的に戦争犯罪人というぬれぎぬを着せられた方々」と位置づける。

 東京裁判の結果を「ぬれぎぬ」と訴える靖国神社に首相が参拝することは、そうした主張にお墨付きを与える意味をもつことを、首相は真剣に考えるべきだ。

 朝日新聞の社説が、靖国神社政治的主張歴史認識自体に、首相が参拝するにあたっての問題があることを正面きって述べたのは、これが初めてだったように思います。
 24日の日記でも述べた通り、「一宗教法人である靖国神社がどういう歴史観政治的主張をしようとも自由ではありますが、そういう宗教施設を日本の首相が参拝するのであれば、それが外交問題に発展することは当然のこと」と、私も考えます。
 もしも、私的な宗教感情や信仰心から小泉首相がどうしても参拝したいとお考えであるならば、首相としての配慮が必要でしょう。例えば、私的な参拝であることをはっきりさせることや、靖国神社政治的主張歴史認識には賛同しないことを明言することなどをすべきではないでしょうか。小泉首相は親族の方が靖国神社に祀られているということだそうですが、その方を私的に追悼・慰霊することには、何の問題もありませんし、どこからも抗議を受けるようなことではないでしょう。しかし、靖国神社A級戦犯を顕彰し、かつての戦争を正当化する立場をとっている宗教施設である以上、何の配慮もなしにそこに参拝することは、外交問題に発展せざるを得ない、ということなのです。


 http://www.asahi.com/politics/update/0528/002.html
 自民党安倍晋三幹事長代理は28日、札幌市内での講演で、小泉首相靖国神社参拝について「小泉首相がわが国のために命をささげた人たちのため、尊崇の念を表すために靖国神社をお参りするのは当然で、責務であると思う。次の首相も、その次の首相も、お参りに行っていただきたいと思う」と述べた。

 首相にとって靖国神社という一宗教法人に参拝することが「責務である」とは、これはすごい発言だなあ、と吃驚しないわけにはいきません。安倍氏の辞書には、「政教分離」という言葉はないのでしょうか。公明党への気兼ねも全くないようですが、どこまで計算して発言しているのかしらん(もしもこれで公明党が何の反発もしないようなら、これまた吃驚するでしょうが)。