ドラえもん

 Aパートの、のび太くんとしずかちゃんの人格を入れ替えるという『転校生』的エピソードは、新『ドラえもん』らしい、考えようによってはあぶないネタでした。男の子のように木登りや野球を思いっきりやりたい、と考えるしずかちゃんの描写にはやや古臭い印象を受けましたが、とんちんかんな「ジェンダーフリー教育バッシング」が幅をきかせているのが現状であることを考えると、このエピソードは意外と古くなっていないのかもしれない、とも思いました。
 ここで、あやとりの得意なのび太くんが女の子たちと馴染んで、男や女にこだわるなんて馬鹿らしいなどと悟ってしまうと、話としてはきれいにまとまりますが、あまりにも説教臭くなってしまったことでしょう。実際には、下品な話題で女の子たちから怪訝な目で見られたり、しずかちゃんのママに行儀の悪さを叱られたりして、ドラえもんに泣きつくと、「もっと根本的な、人間としての君がダメなんだよ」と言われてしまうという、随分と容赦のない展開でした。