靖国参拝問題 雑感

 靖国参拝擁護論の中で、「A級戦犯はすでに赦免されて名誉回復がなされているのだから、参拝することに問題はない」というご意見の方をよく見かけるような気がするのですが、これがどうもよくわかりません。
 靖国神社の認識では、A級戦犯とは「形ばかりの裁判によって一方的に“戦争犯罪人”という、ぬれぎぬを着せられた」人達なので「昭和殉難者」と呼んでいるということだったのですから、東京裁判自体を認めていなかったということになるはずです。だとすれば、そもそも「赦免」も「名誉回復」も靖国神社にとっては何の意味もないのではないでしょうか。戦犯とされた人々は、最初から罪など犯していない、というのが靖国神社の考え方であり、一方「赦免」とは罪を犯したことを認めた上で「赦されて刑罰を減免される」ということなのですから。
 そして、「罪を償った」のではなく「罪を犯していない」霊として、A級戦犯の人々が祀られている靖国神社に、「A級戦犯戦争犯罪人だと認識している」小泉首相が参拝するというのは、どうしてもちぐはぐな印象を受けてしまいます。