靖国参拝問題

小泉首相靖国に代わる施設はありませんよ」
2005年06月17日13時30分

 小泉首相は17日昼、戦没者に対する新たな追悼施設の建設について「わだかまりなく追悼できる施設は検討してもいいと思うが、いかなる施設をつくっても、靖国に代わる施設はありませんよ」と述べ、仮に新たな追悼施設ができたとしても、靖国神社に代わるものにはならないとの認識を示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。

 追悼施設をめぐっては、首相の靖国神社参拝に対して、中国、韓国などから批判が出たことを受け、01年12月に福田官房長官(当時)の私的諮問機関が発足し、1年後に「国立の無宗教の恒久的施設が必要」との報告書をまとめている。しかし、その後、具体的な進展はない。

http://www.asahi.com/politics/update/0617/004.html

 新しい追悼施設ができたとしたら、それは「靖国に代わる施設」であってはならない、と思います。なぜなら、靖国神社は「大日本帝国(そしてその中心に位置づけられた天皇)に忠義を尽くして亡くなったとされる人々」を、神に祭り上げることによって顕彰するという宗教施設であり、それは戦後の「日本国」にはふさわしくないと思われるからです。戦争の犠牲者を「追悼(=その死を悼む)」することが非難されることとは思いませんが、かつての戦争によってアジアへの侵略が行われたのだと認識しているのなら、その戦争で亡くなった人々(特に軍人や政治家)を「顕彰(=その業績を称える)」することは、不適切であると考えるほかありません。
 勿論、「大日本帝国」による戦争を正しい戦争だったと認識している人々にとっては、靖国の英霊を顕彰して何が悪い、という主張になるのが当然でしょう。しかし、現在の「日本国」のかつての戦争に対する認識は、そういうものではないはずなのです。