対日工作?(その2)

 1月31日のエントリ「対日工作?」のコメント欄で、Jonahさんから『工作要綱』の真贋について検証したブログを紹介して頂きました。


http://blog.goo.ne.jp/cl-a-w


 『工作要綱』に使われている用語のおかしさについて、説得力のある論証がなされているように思われます。
 しかし佐藤守氏は、今日のエントリで『工作要綱』の真実性を引き続き主張しておられます。 


http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/20060202/1138850633
2006-02-02 間接侵略は始まっている!


 「間接侵略」とは、初めて目にする表現です。
 それはともかく、『工作要綱』の全文が月刊誌「Will」3月号に掲載されているそうなので、一度目を通してみようと思いますが、相変わらず佐藤守氏の主張されることには首をひねることが多々あります。
例えば、以下の部分。

続いて西内氏が、「指令通りに進む対日解放戦・・・過去6年の経過」と題して、解説をしているのだが、繰り返して書くが、この文は昭和47年夏、今から34年前の文化大革命時代に書かれた物である。当時はわが国も、これに呼応する形で学園闘争が繰り返されていた時代であった。

 学園闘争は、当時日本だけでなく、ドイツ・フランス・アメリカなど欧米各国で起こっていましたが、それら全てが何らかの工作によるものだったのでしょうか、それとも日本でだけ中国の工作によって学園闘争が引き起こされたのでしょうか?

 また、以下の部分。

この対日工作綱領の「成果」を観察するには、わが国の現実を見ればよい。高度工業国たる日本の支配は見事に達成されている。それもわが国土を支配する以前に、産業界が列をなしてかの国に押しかけるという奇観を呈している。そして中国は経済大国にのし上がった。その上綱領どおり、わが国の経済人達は、靖国問題をはじめ、中国側の要求を自国政府に突きつける≪エージェント≫に落ちぶれている。

 「高度工業国たる〜」に続く3つの文の、論理的なつながりがさっぱり理解できません。佐藤氏によれば、すでに「高度工業国たる日本」は中国の支配下にあるらしいのですが、日本経済が中国の支配下にあるとは、一体どういうことなのでしょう?続けて「産業界が列をなしてかの国に押しかけるという奇観」ともおっしゃいますが、中国の安い労働力と巨大な市場を求めて「産業界が列をなしてかの国に押しかけ」ているのは、何も日本だけに限った話ではないでしょうし、そのような「奇観」を「高度工業国たる日本の支配」の根拠と考えておられるのだとしたら、全く馬鹿馬鹿しい話です。そして、「その上綱領どおり、わが国の経済人達は、靖国問題をはじめ、中国側の要求を自国政府に突きつける≪エージェント≫に落ちぶれている。」とのことですが、「綱領どおり」ということは、「わが国の経済人」が中国の工作によって「中国側の要求を自国政府に突きつける≪エージェント≫に落ちぶれている」とお考えなのでしょうが、一体何を根拠とする言説なのでしょう?「わが国の経済人」は、ただ単に経済を最優先に考えている、というだけの話ではないのでしょうか。